地獄の逃避行 | |
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Badlands | |
監督 | テレンス・マリック |
脚本 | テレンス・マリック |
製作 | テレンス・マリック |
製作総指揮 | エドワード・R・プレスマン |
出演者 |
マーティン・シーン シシー・スペイセク |
音楽 |
ジェームズ・テイラー ジョージ・アリソン・ティプトン |
撮影 |
ブライアン・プロビン ステヴァン・ラーナー タク・フジモト |
編集 | ロバート・エストリン |
配給 | ワーナー・ブラザーズ |
公開 | 1973年10月15日 |
上映時間 | 95分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 |
英語 スペイン語 |
『地獄の逃避行』(Badlands)は、1973年公開のアメリカ映画。テレンス・マリックの監督デビュー作。
ストーリーは1958年にネブラスカ州で実際にあった「スタークウェザー=フューゲート事件(Starkweather/Fugate murders)」をもとにしている。出会った人を片っ端から殺していく行き当たりばったりな男女の逃避行を、神秘的なまでに美しい映像と音楽で描き出したロードムービー。
日本では劇場未公開。ビデオ化されたとき、主演のマーティン・シーンが『地獄の黙示録』の方で有名になっていたため、邦題が現在の形になった。
ストーリー[]
テンプレート:ネタバレ 退屈な生活を送っていた15歳の少女ホリー(シシー・スペイセク)は、ある日ジェームズ・ディーンそっくりの清掃係の男キット(マーティン・シーン)に声をかけられる。キットのような男がどうしてぱっとしない自分と付き合うのか不審に思ったが、何度も会っているうちに恋心が芽生えた。
看板屋をしているホリーの父親(ウォーレン・オーツ)は2人の関係を知って激怒し、キットに出入り禁止を言い渡す。キットはホリーと共に駆け落ちしようと窓から侵入するも、父親に見つかってしまい、発砲。ガソリンで家を燃やしてホリーと一緒に逃走する。
2人はしばらくの間森の中に家を作り生活していたが、見つかってしまい、3人の男を殺して逃走。次にかつての清掃係仲間を訪ねたが、警察に通報しそうなそぶりを見せたので発砲。さらに忘れ物を取りに戻ってきた家の持ち主の夫婦を射殺し、車を奪って逃げた。
次に金持ちの家に上がりこんだが、今度は誰も殺さずにキャデラックを奪って荒野に飛び出した。計画性がなく、すぐに人を殺すキットに愛想が尽きてきたホリーは、警察のヘリコプターに見つけられると、キットだけを逃がして投降した。キットはしばらく逃げていたが、やがて諦めたのか、わざとタイヤを撃ち抜いてパンクを口実に投降する。動機を尋ねられたキットは「悪いヤツになりたかった」と答えた。
キットは裁判で居眠りをして、半年後に電気椅子に送られた。
登場人物[]
- キット(マーティン・シーン)
- 外見から身振りまで『理由なき反抗』のジェームズ・ディーンそっくりの25歳の男。本人も意識しているのか、警官に「ジェームズ・ディーンに似てる」と言われたときは嬉しそうな笑顔を見せた。すぐに人を撃ち、卑怯な手を使うことも厭わない。故郷はジョニー・ジェイムズと同じサウスダコタ州。好きな歌手はエディ・フィッシャー。
- ホリー(シシー・スペイセク)
- お世辞にも美しいとは言えない15歳の少女。状況を理解できていないかのような夢見がちで感傷的なセリフが多い。つまらないジョークを知っている。事件のあと弁護士の息子と結婚したらしい。
- ホリーの父親(ウォーレン・オーツ)
- 看板屋。最愛の妻を亡くして娘のホリーと2人暮らし。ホリーとキットの関係を知って激怒し、飼い犬を撃ち殺した。キットの最初の犠牲者。
解説[]
- キットは25歳、ホリーは15歳という設定だが、当時マーティン・シーンは32歳、シシー・スペイセクは23歳だった。
- 金持ちの家を訪ねてくる男はテレンス・マリック本人。
- 聾のメイドを演じたドナ・ボールドウィンは撮影スタッフの衣装係。
実際の事件との比較[]
- キットと同様、スタークウェザーもジェームズ・ディーンのファンだった。
- スタークウェザーもキットと同じように、清掃係だったこともあった。
- スタークウェザーは低賃金労働者であり、キットのように職を転々としていた。
- 映画でキットが最初に殺すのはホリーの父親であるが、スタークウェザーの最初の殺人もフューゲートの父親である。そして映画と同じように、スタークウェザーたちも殺した父親の家にしばらく滞在していた。
- キットたちは家を燃やして逃走したが、スタークウェザーたちは玄関のドアに「Every Body is sick with the Flu(みんなインフルエンザに罹っています)」というメモを貼り付けて人が立ち寄らないようにしていた。金持ちの家を立ち去るときにキットたちも似たようなメモを残している。
- キットたちが竜巻避難用地下室(storm cellar)に夫婦を閉じ込めて射殺するシーンがあるが、スタークウェザーも同じ手口で人を殺している。
- 映画ではキットたちは金持ちと聾のメイドだけは殺さなかったことになっているが、スタークウェザーは殺している。
- キットが自殺をほのめかすメッセージを吹き込んだレコードをかけて逃走するシーンがあるが、スタークウェザーも警察の捜査をかく乱するようなメッセージを残した。
- キットはカーチェイスの末に捕まってしまうが、スタークウェザーも同様である。
- キットもスタークウェザーも電気椅子に送られる。ホリーとフューゲートは処刑を免れる点では同じだが、フュゲートの方は投獄されてしまう。
関連項目[]
- トゥルー・ロマンス
- トニー・スコット監督。クエンティン・タランティーノ脚本。マリックへのオマージュ。ストーリーと音楽に類似点がみられる。
- マーダー
- 同一事件を扱った1993年の映画。
- 信頼できない語り手
- ホリーの主観による語りであるために、ご都合主義的な解釈が多く、その世界観・人生観は稚拙である。そのことが事件の陰惨さや深刻さを覆い隠している。さらに観客は、ホリーとキットの愛や、ホリーの父親への感情、彼女が殺人にどの程度まで関与していたのかといった重要な点について判断を留保しなければならなくなる。一般にテレンス・マリック監督の映画は一人称のヴォイス・オーバーが重要な意味をもっている。
テンプレート:テレンス・マリック監督作品
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