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七人の侍
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監督 黒澤明
脚本 黒澤明
橋本忍
小国英雄
製作 本木莊二郎
出演者 三船敏郎
志村喬
加東大介
木村功
千秋実
宮口精二
稲葉義男
音楽 早坂文雄
撮影 中井朝一
公開 1954年4月26日 日本の旗
上映時間 207分
製作国 日本
言語 日本語
前作 生きる
次作 生きものの記録
  

七人の侍』(しちにんのさむらい)は、テンプレート:Jdateに公開された日本映画である。監督は黒澤明

シナリオやアクションシーン、時代考証などを含めて高い評価を得、その後の多くの映画作品に影響を与えた。また、黒澤がマルチカム撮影方式を初めて採用した作品としても知られる。本作での同方式使用は限定的であったが、その効果に驚いた黒澤は、以後同方式を常用することとなった。

あらすじ 編集

時は戦国時代。百姓に雇われる形で集った七人のが百姓との軋轢を乗り越えながら協力し、野武士の一団と戦う物語。前半部と後半部に分かれ、前半部では主に侍集めと戦の準備が、後半部では野武士との本格的な決戦が描かれる。前半部と後半部の間には5分間の休憩がある。 テンプレート:ネタバレ

前半 編集

弱者からの略奪が横行する戦国時代、盗賊と化した野武士の一団は、前年も略奪の憂き目に会ったある農村に再び狙いを定める。村人たちが悲嘆に暮れる中、若い百姓の利吉が野武士と戦うことを主張する。話を聞いた長老の儀作は、飢えた侍を雇って村を守ることを思い立つ。

町に出た利吉、茂助、万造、与平の四人は浪人集めに苦労するが、歴戦の武士であったが僧侶に身をやつしていた勘兵衛という浪人の機転と腕にほれ込み、食物を報酬に村を守るよう説得する。四十騎の野武士と戦うには七人の侍が必要と判断した勘兵衛は侍集めを開始し、腕試しを一目で見抜いた五郎兵衛を皮切りに、勘兵衛のかつての部下である七郎次、陽気な性格の平八、剣の達人である久蔵が集い、さらに勘兵衛に弟子入り志願する若侍の勝四郎も加えられる。そこへ勘兵衛の姿を見ていた怪しい男が現れ菊千代と名乗り、村へ向かう六人について来る。村にたどり着いた侍たちを村人は警戒し姿を隠すが、菊千代が鐘を乱打したためあわてふためいて姿を現す。これを見た侍たちは、菊千代の機転を評価して七人目に加える。

勘兵衛たちは村の周囲を回り、弱点を調べ上げて村を要塞化する案を練る。百姓たちは堀や柵作りなど村の要塞化の普請を始め、百姓たちも戦いに加わるために組分けされ、それぞれ個性的な侍たちの指導により鍛え上げられる。一方、若侍の勝四郎は山の中で万造の娘、志乃と出会い恋に落ちる。戦の準備の最中、侍たちは村人が落ち武者狩りをして武器を貯め込んでいることを知り、憤慨し嫌悪する。菊千代はそれに対し、百姓は侍が想像する以上に卑劣で醜悪だが、百姓をそうさせたのは破壊と略奪を繰り返す侍自身であると叫ぶ。勘兵衛は菊千代が百姓の出であることを見抜き、侍たちも怒りを収める。

刈り入れの時期が近づき、勘兵衛たちは水田を堀にするとともに、村の中心から離れた家を捨てねばならないことを儀作らに告げる。それを聞いた離れ家の茂助は仲間を扇動し列を離れようとするが、勘兵衛は抜刀してその場を治め、村人たちに戦に向けた心構えを厳しく説く。

後半 編集

麦の収穫が行われ、そこへ何も知らない野武士の物見がやってくるが、村は要塞化され今までどおり入れなくなっていた。捕らえた物見の話から本拠の位置を知った侍たちは、利吉の案内で本拠の様子を見て野武士の人数と種子島(火縄銃)などの武装の数を確認し、本拠を焼き討ちする。利吉は逃げ惑っていた者たちの中に野武士にさらわれた妻の姿を見つける。夫を見て火の中に身を投じた妻に追いすがる利吉を取り押さえる平八が、野武士の種子島に撃たれて絶命する。村が悲しみに包まれる中、菊千代は平八が生前作っていた旗を高く掲げる。それと同時に馬に乗った野武士の集団が現れ、本格的に戦が始まる。

柵と堀によって野武士の侵入は防がれるが、村の防衛線の外にある防御の手が回らない家は、野武士の焼討ちに任せるままになる。この折、水車小屋に篭った儀作を引き戻そうとした息子夫婦が野武士に突き殺される。菊千代はただ一人助かった赤子を抱き、自身と重ねて泣く。その日の夜、柵や堀を越えて侵入を果たそうとする野武士を侍と百姓は協力して次々に仕留める。本隊が裏山にいることを知った勘兵衛は、あえて守りを薄くした箇所に敵を集め、槍衾で一騎ずつ村の中に入れて倒す策を提案する。

勘兵衛の策は功を奏し、野武士は次第にその数を減らす。その合間、勝四郎から久蔵が敵から種子島を奪ってきたという話を聞いた菊千代は、自分も手柄を立てようと持ち場を離れ、種子島を一挺奪ってくる。しかしその隙に野武士が二方向から襲撃を始め、与平を含めた大勢の村人が殺され、五郎兵衛も撃たれて命を落とす。決戦の前夜、勝四郎は志乃に誘われ初めて体の関係をもつが、それを目撃した万造が志乃に折檻を加え、二人の関係は皆に知れ渡る。その折、雨が村に降り始める。

翌朝、豪雨が降りしきる中で残る十三騎との決戦が始まる。泥沼となった村での皆の奮戦によりあと一息のところまで野武士を追い詰めるが、小屋に潜んだ頭目によって久蔵が射殺される。菊千代が自ら小屋に突き進み頭目と相打ちになり、戦いは終わりを迎える。

戦の後、脅威から逃れた村では田植えが行われる。百姓たちは何事もなかったかのようにいつもどおりの作業を始めていた。志乃は勝四郎を一瞥するが、そのまま田植えの列に戻っていった。生き残った三人の侍たちは、死んだ侍たちの墓を見ながら、村を守ることには成功したものの、また「負け戦」に終わったことを悟る。

登場人物 編集

七人の侍 編集

島田 勘兵衛(しまだ かんべえ)
演 - 志村喬
七人の侍を率いることになる浪人。そろそろ五十に手が届く歴戦の武士だが、敗戦続きで浪人となる。白髪が目立つ風貌で若い頃の夢も情熱も枯れかかり、静かに生活がしたいと望んでいる。
剃髪して僧に成りすまし、豪農の子供を盗人から救ったことで利吉達に助けを請われる。当初は乗る気にならなかったが、百姓の懇願や人足の言葉に負け引き受けることを決意する。野武士との戦では地形を生かした策を練り、戦いを有利に進める。普段は温厚で冷静沈着だが、規律を乱す者には非常に厳しい態度で接する。
上泉信綱がモデルになっている。
菊千代(きくちよ)
演 - 三船敏郎
勘兵衛の強さに惹かれ勝手についてくる山犬のような男。長大な刀を肩に担いで浪人のように振舞っているが勘兵衛に即座に侍ではないと見破られる。
元々は百姓の出で、戦で親を失い孤児として育つ。「菊千代」という名前は勘兵衛に自分が侍だと思われたいがために他人の家系図を勝手に盗んで名乗った名前で、後に仲間として受け入れられた時にそのまま定着する。
型破りで特別に血がたぎった熱い男で、百姓と侍を結びつける仲介役。獰猛な男だが、戦うときは勇敢に戦う。ただし戦いは喧嘩のように荒々しい。野武士との戦では東の川沿いの守りを任される。
岡本 勝四郎(おかもと かつしろう)
演 - 木村功
育ちがいい裕福な郷士の末っ子で半人前の浪人。7人の中では最年少。浪人になりたいと親に頼んでも許さないので家を飛び出して旅をしている。勘兵衛の姿にあこがれて付いて行こうとするが、勘兵衛に浪人の辛い現実を教えられ一時動揺する。実戦経験はなく、すべてが新しい経験ばかりで、事件を若々しい敏感な感情で受け取る。野武士との戦では伝令役を任される。
森の中で百姓の娘の志乃と出会い、互いに惹かれ合う。
片山 五郎兵衛(かたやま ごろべえ)
演 - 稲葉義男
勘兵衛の腕試しを一目で見抜き、その人柄に惹かれて助力する浪人。いつでも静かでおだやかだが、その物柔らかさの下に何か人をなだめるような力がある。軍学は相当でき、経験も豊富。野武士との戦では勘兵衛の参謀役を務める。
塚原卜伝をモデルにしている。
七郎次(しちろうじ)
演 - 加東大介
勘兵衛の最も忠実な家臣。勘兵衛は「古女房」と呼ぶ。過去の戦で勘兵衛と離れ離れになった後、物売りとして過ごしていた。再会時には勘兵衛の顔付きだけでその求むるところを知り、ただちにそれに従って動く。
落ち武者となって竹槍で追われた経験があり、その憎しみは強いが、戦の最中は百姓たちを常に励まし、自分の組に入った万造には特に気遣いを見せる。野武士との戦では西の入り口の守りを受け持ち、侍たちの中で唯一を用いる。
林田 平八(はやしだ へいはち)
演 - 千秋実
苦境の中でも深刻にならない、愛想の良い浪人。明るく柔軟で人懐っこく、よく冗談を言う。茶屋で代金代わりに薪割りをしているところを五郎兵衛に誘われる。武士としての腕は少し心もとなく、五郎兵衛はその腕を「中の下」と評する。
「戦に何か高く翻げるものがないと寂しい」と、百姓を表す「た」の字と侍を表す○を六つ、菊千代を表す△をひとつ描いたを作る。
久蔵(きゅうぞう)
演 - 宮口精二
修業の旅を続ける凄腕の剣客。世の中で頼りになるのは自分の腕だけだと思っており、勘兵衛は「己をたたき上げる、ただそれだけに凝り固まった男」と評するが、根は優しい男である。野武士との戦では北の裏山の守りを受け持つ。
宮本武蔵がモデル。

村の百姓 編集

儀作(ぎさく)
演 - 高堂国典
村の長老。東の川向こうにある水車小屋に住む。利吉の提案に侍を雇えと教える。
利吉(りきち)
演 - 土屋嘉男
再びやってくる野武士達に絶望する村人たちの中で、真っ先に戦おうと言い出す若い百姓。儀作の提案で浪人探しに町へ出る。侍探しには最も積極的。村に着いた侍たちに宿を貸す。妻を野武士に差し出さざるを得なかったことで、野武士に強い恨みを持っている。
茂助(もすけ)
演 - 小杉義男
百姓たちのまとめ役。利吉らと浪人探しに町へ出る。野武士との戦では久蔵の組に入る。防御線の外にある家を捨てる破目になる。
万造(まんぞう)
演 - 藤原釜足
百姓の一人。野武士と戦うことに反対するが、儀作の提案で浪人探しに町へ出る。百姓の中でも特に心配性で、侍達をあまり信用せず、娘の志乃を守ろうと髪を切って男装させるが、それが村で騒動になる。野武士との戦では七郎次の組に入る。
与平(よへい)
演 - 左卜全
間の抜けた百姓で、意気地がなく、すぐに泣きべそをかく。利吉らと浪人探しに町へ出る。野武士との戦では菊千代の組に入る。
志乃(しの)
演 - 津島恵子
万造の娘。万造の手により髪を切られ男装することになる。勝四郎と恋に落ちる。
利吉の女房
演 - 島崎雪子
かつて談合のため野武士に差し出され、その本拠に囚われている。
伍作(ごさく)
演 - 榊田敬二
野武士を最初に目撃する村人。
儀作の息子夫婦
演 - 熊谷二良(息子)、登山晴子(息子の嫁)
儀作と暮らす夫婦で、赤子が一人いる。戦の始まりとともに水車小屋に篭った儀作を連れ戻そうとして野武士に襲われ、助けに来た菊千代に赤子を託して絶命する。

町の登場人物 編集

人足
演 - 多々良純(人足A)、堺左千夫(人足B)、関猛(人足C)
侍探しに来た百姓たちと同じ木賃宿に泊まり、博打を打っている。侍を雇うという利吉達の提案を馬鹿にして、嫌味をずっと言っている。しかし勘兵衛が利吉たちの頼みに断りを入れて立ち去ろうとする時に一肌脱ぐことになる。

野武士 編集

野武士の頭目
演 - 高木新平
四十人の野武士集団を率いる。
副頭目
演 - 大友伸
片目に眼帯をつけた男。雨中の決戦にて、わずかな隙を衝かれ久蔵に斬られる。

その他の出演者 編集

  • 百姓 - 峰三平、川越一平、鈴川二郎、夏木順平、神山恭一、鈴木治夫、天野五郎、吉頂寺晃、岩本弘司、今井和雄、中西英介、伊原徳、大塚秀雄、大江秀、河部昌義、下田巡、加藤茂雄、川又吉一
  • 百姓女 - 本間文子、小野松枝、一万慈多鶴恵、大城政子、小沢経子、須川操、高原とり子
  • 百姓の娘 - 上遠野路子、中野俊子、東静子、森啓子、河辺美智子、戸川夕子、北野八代子

  • 豪農の前の百姓 - 片桐常雄
  • 豪農の前の百姓女 - 場野都留子
  • 盗人 - 東野英治郎
  • 強そうな浪人 - 山形勲
  • 茶屋の親爺 - 杉寛
  • 果し合いの浪人 - 牧壮吉
  • 町を歩く浪人A - 仲代達矢(ノンクレジット)
  • 町を歩く浪人B - 宇津井健(ノンクレジット)

野武士


評価 編集

ファイル:Seven Samurai poster2.jpg

一般的に黒澤映画の最高傑作と評されることも多い。侍や百姓たちは一面的ではなく、特に百姓たちは善悪や強弱を併せ持った存在として描かれ、侍たちと百姓たちが相互にかかわりあい変化してゆく様がしっかりと描かれている。

以後の映画作品に多大な影響を与え、また他国の映画監督にもファンが多い。フランシス・フォード・コッポラは「影響を受けた映画」と言い、ジョージ・ルーカスは「『スター・ウォーズ』シリーズはSFという舞台で黒澤のサムライ劇を再現したかった」と述べている。幼少期に黒澤作品に触れて多大な影響を受けたというスティーヴン・スピルバーグは、映画の撮影前や製作に行き詰まったときに、もの作りの原点に立ち戻るために必ずこの映画を見ると発言している。

また、当時の映画としては超大作と言える2億円の資金が投じられ、製作には充分な時間がとられた。脚本は数人がかりで練りこまれ、衣裳なども時代劇にありがちなきらびやかなものではなく、着古したような衣裳が手間をかけて作られ人数分用意された。撮影は一部スタジオで行われた分を除き、大部分が東宝撮影所付近の田園に作られた巨大な村のオープンセットと、伊豆から箱根にかけての各地の山村でのロケで行われた。ロケ地にもオープンセットと違和感なくつながるように村の一部を建設したため建設費も大きくなった。

本作の評価の一つに、時代考証が正確無比だったことが挙げられる(注:ただし、戦国史家藤木久志は、この作品が傑作であることを認めつつ、戦国時代の農民は基本的に武装し、状況に応じて兵士に早変わりする獰猛な存在であって、刀ひとつ持てないなどということはあり得ないとの批判を述べている[1])。

それは映画史に残る合戦シーンも同じである。黒澤が合戦シーン及び侍たちがとった戦法にリアリティがあるのかどうかを自衛隊などの識者に聞いて回ったところ、皆が時代に非常に忠実と口をそろえたという。しかし、実は戦闘シーンや戦法(特に村を要塞化するなどの描写)は、資料が足りなかったのか黒澤たちが適当に描いたものだった。それゆえに黒澤はわざわざ識者に聞いて回ったのである。それまでは脇役であった野武士というものの生態を浮き立たせたのもこの映画の特徴であった。黒澤曰く、侍が刀を持って歩くシーンは上下動しておらず、槍を持ったら槍を持つ歩き方を指導しているので、相当な時間を費やしたという。

本作は、小津安二郎の『東京物語』、本多猪四郎の『ゴジラ』等と共に日本映画という枠のみならず、世界映画の傑作としてしばしば挙げられ国外での評価も高い。1954年度 ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞した。(なお、同映画祭では時間の制限から黒澤自ら再編集した短縮版での上映であった。)

影響を受けた作品 編集

「腕利きの7人(または数人)の個性的なプロフェッショナルが、弱者を守る・秘宝を盗むなどの目的のために結集して戦う」というプロットは、「7人」という登場人物の映画・ドラマの原点とも言われている。

これらは『プライベート・ライアン』、『キング・アーサー』など多数のアクション映画・ドラマに多大な影響を与えた。またパロディとして

といったコメディ映画も製作されている。この他に連続シリーズ物の1エピソードとして作られた7人ものについては、多すぎて挙げる事も出来ないほどである。

リメイク 編集

脚注 編集

  1. 藤木久志 『刀狩り 武器を封印した民衆』 岩波新書、2005年

参考文献 編集

関連文献(近年) 編集

  • 『黒澤明「七人の侍」 創作ノート』 2巻組、野上照代編・解説 文藝春秋、2010年8月
  • 『黒澤明MEMORIAL10 七人の侍』 小学館 野上照代監修、2010年7月、本編DVDと解説冊子(全10巻シリーズ)
  • 四方田犬彦 『「七人の侍」と現代 黒澤明再考』 岩波新書、2010年6月

テンプレート:黒澤明監督作品

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